はじめに
日本語の上級レベルの皆さんの中には、日本語の条件表現が苦手、特に確定条件『〜たら』がよくわからないという人もいるのでは?
「〜ば」「〜たら」のクイズに挑戦
突然ですが、ここでクイズです。
下の例は「〜ば」と「〜たら」どちらを使うのか、すぐに答えられるでしょうか。
例)
1山下さんが来れば、会議を始めましょう。
2山下さんが来たら、会議を始めましょう。
答えは、2です。
どうでしょう?すぐ答えられたでしょうか。
すぐに答えられなかった、悩んでしまった、そんな人におすすめなのが、日本のミステリー/サスペンスアニメです。
日本語を学んでいる皆さんの中には、日本のアニメが好きな人も多いと思います。アニメがきっかけで、日本語の勉強を始めた人もいると思います。
日本のアニメは、恋愛・コメディ・SF・異世界・ギャグ・アイドル・バトル・スポーツなどジャンルも幅広く、ハマる要素がたくさんありますよね。
アニメを楽しむだけでなく、アニメは日本語の勉強としても役に立ちます。
日本のアニメの多くは、1話が30分程度の長さです。これは、日本語の勉強のために見る場合に、集中して見ることができる適当な長さだと言えます。
また、日本のアニメは、声優さんによる聞き取りやすい声が映像にあてられているので、聞き取りやすく、リスニングの練習としても最適です。
日本のアニメの中でも、ミステリー・サスペンスアニメは、日本語の条件表現が多用されます。
そのため、日本語の条件表現を苦手にしている人、あるいは、日本語の条件を使いこなしたいという人には、日本のミステリー・サスペンスアニメは、日本語の条件表現について見て楽しんで学べる教材になります。
そこでここでは、日本のミステリー・サスペンスアニメの中から、ドラマ大好き・アニメも大好きな、夢ノ富士雅久が上級レベルの日本語を勉強している外国人学習者におすすめのアニメを5つ選んでご紹介します。
アニメの内容が面白くなければ、日本語の勉強に役立てようという気持ちにはなりませんよね。
大丈夫です!
ご紹介するのは、どれも、日本語の条件表現だけなく、語彙・文法の力や聴解力の力をつけるのに役立って、さらに何度も観たくなる名作ばかりです!
このページが役に立つ方
上級レベルの日本語を学んでいる外国人学習者
- 上級レベルの日本語の語彙力・聴解力を楽しく身につけたい人
- 外国人の友人から日本語の勉強におすすめの日本のアニメを尋ねられた人
- 上級レベルの日本語を教えている人
- 日本語の条件表現を学びたい人
『日本語横綱』ってどんなサイト?
ところで、こちらは、上級レベルの日本語を学ぶ人、教える人のために、上級レベルの日本語力を向上させるための情報を提供するサイトです。
改めまして。どうも!夢ノ富士 雅久(ゆめのふじ まさひさ)です。
私、夢ノ富士は、日本語教育歴が20年以上あり、日本語教育歴=日本語や国語の問題作成歴でもあります。
問題作成者としての経験豊富な私だからこそお伝えできる上級の日本語の力をつけるためのポイントがあります。
そうした上級の日本語を学ぶポイントやコツをご紹介することを通して皆さんの助けになればと思い、このサイトを作りました。
このサイトの運営者について
- 日本の国立大学大学院修士課程修了。
- 日本語教育歴=日本語国語問題作成歴、20年以上。
- 国内外での公的機関の日本語の試験問題作成の経験者。
- 上級レベルの日本語教授が得意。
上級の日本語の学習法やJLPTの対策では私が横綱です!
日本語の条件表現の学習には日本のミステリー・サスペンスアニメがおすすめ
日本のミステリー・サスペンスアニメのセリフは、登場人物たちが推測したり、仮定したりする場面が多く出てきます。その中で、さまざまな日本語の条件表現が使われます。
上級レベルの日本語学習では、条件表現の習得が鍵になります。
条件表現を適切に使えるかが上級レベルかどうかを示す一つの目安になってきます。
しかし、文法の表現を覚えるだけでは使い分けは身につきません。
そこでおすすめなのが日本のミステリー・サスペンスアニメを観て学ぶことです。
しかもミステリー・サスペンスアニメには、条件表現が多用されることに加えて、日本人の生活や考え方を学ぶのに役立つ情報や関連する語彙が溢れています。
さらに、アニメの声優さんは日本語の発音が明瞭で聞き取りやすいです。
そのため、日本語の条件表現の使い分けを学びたい、語彙を増やしたい、実際の会話のリスニングの力をつけたい上級の日本語学習者には、ピッタリなのです。
観て楽しい!日本語の条件表現の学習に役立つミステリーアニメ5選
お待たせしました!
ミステリー・サスペンスアニメは、ストーリー上でハラハラ・ドキドキする事件が起こり、その事件の謎に迫るというものです。
ドラマと違って、アニメでは非現実的な突拍子もない設定や展開になってもなぜか不思議と気になりませんよね。
今回ご紹介するのは、日本で定番の推理ミステリーアニメ作品だけでなく、独特な世界観の上に成り立つアニメ作品もあります。
日本語の条件表現がたくさん出て難しいと思う場面もあるかもしれませんが、見始めると謎が謎を呼ぶセリフや展開に、続きが気になって仕方なくなる。そんな5作品をご紹介します。
では、上級の日本語、特に条件表現の勉強に役に立つおすすめの日本のミステリー・サスペンスアニメを見ていきましょう。
『オッドタクシー』
☆アニメとしてのおすすめポイント:
主人公は「セイウチ」!アニメとしては傑作です!
日本のミステリーアニメの中でも屈指の傑作だと言えます。
あらすじなど、何か情報を得てから観るよりも、そうした情報を得ずにまず観ることをおすすめします。
登場人物は、擬人化した動物たち。そのビジュアルだけ見ると、動物たちのほのぼのとした日常を描くアニメのように思うかもしれませんが、違います!
きっと皆さんは、最終回を観た直後に、再び1話目から観返してしまうと思います。それほど、秀逸で練られたストーリーです。
皆さんがもしミステリー好きだとしたら、そうしたミステリー好きの人を唸らせる伏線に次ぐ伏線の嵐に、日本語の勉強そっちのけできっと最初から最後まで驚かされると思います。
*(2021年/全13話)
*あらすじはこちら(ほとんど情報がないので、見ても大丈夫です笑)
☆日本語学習としてのおすすめポイント:
アニメの本編だけでなく公式が配信しているオーディオドラマも一緒に聴いてみ流のをおすすめします。
話し言葉で使われる表現や方言がたくさん出てきます。日本語の勉強になるだけではなく、聴くと皆さんの背筋がゾクゾクと凍りついて、さらにアニメについての考察が止まらなくなるかもしれません。
主人公:個人タクシー運転手のセイウチ。中年男性?
学習に役立つ日本語場面:日常生活・友人間、客とのやり取り
リスニングの難易度:中〜難
語彙の難易度:中〜難
『化物語』
☆アニメとしてのおすすめポイント:
観る小説です!
原作はライトノベルです。
小説を読んでいるかのような一風変わった独創的なアニメを楽しみたい人におすすめのアニメです。
視覚的な遊びが随所に現れています。日本語の母語話者でも一時停止ボタンを押さないと読み切れない説明文や、独特な角度でアニメのキャラクターが振り向く斬新なカットや構図・造形など、他のアニメにはない演出が満載です。
ストーリーは"怪異"に憑りつかれた少女たちと男性主人公との交流がメイン。
個性豊かなヒロインたちと主人公との会話劇が多いのですが、そこに観ている私たちを飽きさせない言葉選びのセンスが光っています。観る小説とも言えます。
この作品の唯一無二の世界観がクセになる「化物語」は、他にも多数シリーズがあります。
観る小説としてシリーズすべてを観て、日本語を学んでください!
*(2009年/全15話)
関連作品
<テレビアニメ>
〈物語〉シリーズ
『偽物語』(2012年/全11話)
『猫物語(黒)』(2012年/全4話)
『〈物語〉シリーズ セカンドシーズン』(2013年/全28話)
『憑物語』(2014年/全4話)
『終物語』(2015年/全20話)
『暦物語』(2016年/全12話)
☆日本語学習としてのおすすめポイント:
主人公の男子高校生が物語を「語る」展開と、ヒロインたちの会話劇の中に、日本語の条件や推測表現が散りばめられています。古語や独特な表現を使うヒロインもいるため、難しいと感じるかもしれませんが、その難しさは観ているうちに上級だからこそわかって楽しめるようになると思います。
主人公:男子高校生
学習に役立つ日本語場面:学校・日常生活・家族間
リスニングの難易度:中〜難
語彙の難易度:中〜難
リスニングの勉強にキャラクターを演じた声優さんたちの「あとがたり」がおすすめ
『氷菓』
☆アニメとしてのおすすめポイント:
こちらは、小説が原作。京アニ(京都アニメーション)作品です。夢ノ富士が日本語を学ぶ全ての外国人におすすめしたい青春ミステリーアニメです。
物語だけでなく、演出、作画の美しさ、登場人物のキャラクターの魅力などのバランスが良いのです。素晴らしいです。
高校生の日常の中に起こる些細な事件の謎を紐解いていきます。そうした謎を絡めた人間ドラマが物語のメインとなっていて、1つの事件が解決されたあとの余韻に日本らしさがあると思います。それをぜひ楽しんでください。
登場人物4人の関係性、雰囲気、空気感は日本的ですが、国や文化を超えて皆さんのノスタルジーも刺激されると思います。
*(2012年/全22話)
*あらすじはこちら
☆日本語学習としてのおすすめポイント:
主人公の「語り」に注目!
小説の独白のように、主人公の思考が呟かれるのですが、特にそこで推論・仮定の表現が学べます。高校生4人のやり取りから、友人間で使われる日本語表現にも触れられます。
主人公:男子高校生。主要な登場人物は、女性二人、主人公を含めて男性二人。地方の県立高校の「古典部」が主な舞台。
学習に役立つ日本語場面:学校・日常生活・友人間のやり取り
リスニングの難易度:中〜難
語彙の難易度:中〜難
『BANANA FISH』
☆アニメとしてのおすすめポイント:
少女漫画が原作のアニメ!
原作漫画が不朽の名作と言える作品です。原作漫画の連載終了から20年以上経った平成最後の夏にアニメ化されました。
ニューヨークを舞台にしたギャングやマフィアたちが横行する裏社会の闇が描かれています。むごい事件も多々起こります。
そうしたストーリーや絵柄を見ると意外に思うかもしれませんが、このアニメの原作はなんと少女漫画なのです。だからか観る人に「切なさ」を感じさせます。
ストーリーのテンポが良いだけでなく、予想を裏切る衝撃的な展開が続くので、全24話があっという間に感じるはずです。
日本語の勉強のために観ているのを忘れて、観終わるのが惜しいくらい没入できる『BANANA FISH』のアニメの世界にぜひダイブしてみてください。
*(2018年/全24話)
*あらすじはこちら
☆日本語学習としてのおすすめポイント:
ある陰謀に主人公が巻き込まれていくストーリーでは、ハラハラしながら、推測、条件表現が学べます。
主人公:アメリカ、ダウンタウンのストリート・キッズのボスと日本人男子大学生
学習に役立つ日本語場面:日常生活・友人間
リスニングの難易度:中〜難
語彙の難易度:中〜難
『輪るピングドラム』
☆アニメとしてのおすすめポイント:
皆さんの中で、『少女革命ウテナ』というアニメ作品を観たことがある人はいますか。(なければ、ぜひ調べてみてください!)
そのアニメが好きな人は、絶対にハマります。これまた日本語の勉強のために観ていることを忘れるくらいに。
『少女革命ウテナ』の監督・幾原邦彦さんが、この『輪るピングドラム』の監督・構成・脚本を担当しています。
タイトルからして謎ですよね。
「輪る?ピングドラム?聞いてことも見たこともない日本語です。」と思いませんか。(思いますよね?笑)
監督・幾原邦彦さんによる芸術的で斬新な演出に加えて、シナリオも難解な部分が数多くあります。
ですが、難解な部分は、監督の「感性」だと思って、日本語がわからないことを気にするよりも難しさを楽しんでください。
日本語母語話者の夢ノ富士もストーリーのすべての意味はわかりません笑
わからなくとも、伏線に次ぐ伏線によって、続きが気になって仕方ない構成力があります。皆さんも観るときっと多くの描写に疑問が残ると思いますが、それも含めて皆さんが自分で考察するのが本作の楽しみ方だと思います。
皆さんもこれを観れば、きっと日本語で
「生存戦略(せいぞんせんりゃくぅ)〜〜!!!」
と叫びたくなるはずです!(どういうことなのかは、観ればわかります^^)
*(2011年/全24話)
☆日本語学習としてのおすすめポイント:
「家族」がテーマ!
高校生の兄弟と重い病の妹との関係が軸になります。奇想天外なストーリーに日本語の条件や推測表現が散りばめられています。
主人公:男子高校生
学習に役立つ日本語場面:日常生活・家族間
リスニングの難易度:中〜難
語彙の難易度:中〜難
日本のミステリーアニメで上級日本語の条件表現をマスターしよう
上級レベルでは、条件表現を使いこなせるかどうかが重要になってきます。
日本語の条件表現を苦手とする学習者は多いと思います。そうした人にこそ、日本のミステリー・サスペンスアニメがおすすめです。
条件表現が多用されるミステリー・サスペンスアニメを通して、条件表現を学べるだけでなく、語彙力もヒアリング力もつけることができるからです。
ここでご紹介したアニメ以外にも、日本語の勉強になるアニメはたくさんあります。
上級の日本語の力をもっとつけたい方、語彙力や聴解力をつけたい方、日本のアニメをたくさん見て、日本語力をアップさせましょう!
ビジネス日本語を学びたい人には、日本の仕事ドラマがおすすめ!
[おまけ]
N1読解に合格するために、効率よく勉強できる対策本も紹介しています!
出版されている対策用の本でN1読解の学習をしたい人におすすめの対策本をご紹介しています。
私、夢ノ富士は、問題作成の経験が20年以上のベテランです。その私が厳選した対策本です。ぜひ、JLPT N1の読解対策に役立ててください!